2012年1月7日土曜日

みかんチャボ4

家を追い出されたチャボリーヌは


険しい山道や荒流の川、鳥のいじめをうけながら
里山の古い民家の前に倒れたのです。
「あら?おやおや、チャボさんかい?」
優しそうな人間の声です。
「大丈夫?ほれ、内のみかんをお食べ。」
「要らないです・・・みかんだけは嫌です。」
チャボリーヌは言いました。
「まぁ、どうして?」
「みかんを食べたら、もっともっと、みかん色になちゃう!!
みかん食べ過ぎてこんなになっちゃって、苦しいよ。
みかん色なんて嫌だよお。。。」
「そう、大変だったのね。」
チャボリーヌは泣きだしました。


その日、チャボリーヌはその古民家にとまる事になりました。
井森さんというそうです。
美味しい雑煮と芋粥です。
「あなたのみかん色、おじいさんを思い出すわ」
ふと、井森さんが言いました。
井森さんは独り暮らしのようです。
「おじいさん?」
「そうよ。ミカンじいさんと呼ばれていたのよ。」
「なんで?」
「ミカン畑をしていたの。
大切そうに、いつもみかんに話しかけてたわ。」
井森さんはほほ笑んだ。
「美味しいみかんになれよ、って。皆に喜ばれろよ、って」

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